2021 day41

1ヶ月前、ちょうど1月の三連休の初日だったと思う。親戚の兄ちゃんが亡くなったことをニュースで知った。

最後に会ったのは何年前だったか。7年?10年?道を歩いていたら、もうどこの道だったかも覚えていないが、道を歩いていたら兄ちゃんとすれ違った。向こうが先に気づいて声をかけてくれた。

「ちょっと今度ゆっくり話そうぜ。連絡くれよ」

立ち話もそこそこに、兄ちゃんはそう言って歩き去った。兄ちゃんの丸い背中を見送って、別れた。結局それ以来連絡を取ることもなく、声を聞いたのはあれが最後だった。

兄ちゃんが世に出している作品は身近にあって、自分は好きなのでたまに買っている。だから、会うことはなくても、それほど遠くに感じることもなかった。

昔、まだ自分が中学生の頃、とある大人の事情に巻き込まれて暗い顔をしている自分に、兄ちゃんはいつものひょうきんさで接してくれて、励まし笑わせてくれた。おもちゃの小判を両手で持ち上げて、「小判じゃあ〜」とギョロ目を見開いて叫んでいた。文字にするとなんのこっちゃだが。当時の自分は、間違いなく心の底から笑ったし、塞いでいた気持ちもその瞬間だけは忘れることができた。

大人になってからも、劇団の研究生時代に自分の下手な芝居を観に来てくれたし、兄ちゃんはいつも応援してくれた。何度も大勢引き連れて観に来てくれる兄ちゃんは、劇団内でも有名人になった。

訃報から一月経って、ようやく文字に起こせる気になった。兄ちゃんの手料理、またいつか食べたい。

合掌。