2019 day140

アベンジャーズ エンドゲーム』を観て以来、一度も劇場鑑賞していない。あれは大型連休に入る前日だったから、今月は一本も観てないことになる。こんなことは何年ぶりだろうか。この2年くらいは年間100本ペースを大幅に割り込んでしまっているが、それは仕事と家族の時間を優先してのこと。それでも週に一本は観に行っていたが、特に最近は家族の時間を最優先にしているので、仕事が定時で上がれた日も映画館に寄らず直帰している。映画の上映時間はチェックしているのに、早く帰れる時はまっすぐ家に帰る。そんな生活パターンになった。

定時で上がると言えば、『わたし、定時で帰ります。』というドラマを観ている。働き方改革が叫ばれている昨今の世相を反映したようなタイトルだが、ノー残業だけでなく、仕事の効率化や女性のキャリア形成や各種ハラスメント対応などがわかりやすく描かれていて、そんなにうまくはいかないよとか思いながらもついつい観てしまう。でも、仕事をキッチリと仕上げ、定時で帰りますと言ってどんな時でも、たとえ周囲の空気を無視してでも定時で帰る主人公の姿は、ワークライフバランスを考えると正しい。ワークがなければライフが成り立たないが、ライフが充実していなければワークの活力が出ない。ただ、今の働き方改革は非常に押し付け感が強く、企業は法令遵守が基本なので、仕事の仕組み改善は後回しで残業抑止だけ拍車がかかり、結果、仕事の仕上がり精度が落ちることにも繋がりかねず、現場が疲弊していくというこの構造はよろしくない。

残業抑止と言えば、働き方改革による残業抑止で手取りが減り、住宅ローンが払えなくなったというケースがテレビで紹介されていた、と妻が言っていた。そう、残業抑止は収入にも響いてくる、という当たり前のことに国や経営層は触れてこないので、そういう人が出てきてもおかしくない。住宅ローンは極端な例としても、生活の質は下げざるを得ない。消費も当然渋くなるので、経済にも影響する。このままだと消費税は10%に引き上げられるだろうから、何かしらのセーフティーネットがないと、家族を作って子供を増やしてという、そもそもの国力を生み出す力が弱まっていく。小市民的な感覚ではそうなる。

セーフティーネットと言えば、奨学金制度は非常に問題で、結局卒業後に何年、何十年も続いていく返済地獄がその本性だ。日本もそうだけど、アメリカの学生ローンは大問題になっているのだが、モアハウスカレッジという大学の卒業式で、式に出席していたある実業家が、卒業生の学生ローンを自費で負担することを宣言したというニュースを読んだ。その額4,000万ドル(約44億円)。なんともビッグな話だ。この大学はもともとアフリカ系アメリカ人の高等教育の為に設立された大学で、マーティン・L・キング牧師の出身校でもあるらしい。しっかりと学び、社会に出て次の世界を築いていく世代への励ましと期待をこんな形で表現できるなんて、アメリカの実業家は二つの意味で懐が広い。

働き方やダイバシティーを広めるには、このような資産家による社会への還元が必要なのだとしたら、政府のやるべきことは何なのか、そして一市民のやるべきことは何なのか、考え直さないといけない。