2019 day121

令和最初の日。

妻が記念に切符を欲しがった。家族で最寄りのJRまで歩いて行って、140円の切符を買った。切符には西暦しか打ち込まれていないが、妻は満足そうに財布にしまった。

駅での用事は済んだので、外に出て、近くのマックで朝食を取った。息子のハッピーセットについてきたトミカは、レクサスだった。この前もらったのは照明車だったから、かぶらなくてよかった。パンケーキとホットコーヒーでのんびり朝マックした。

食後は近所のショッピングモールまで散歩した。今日の天気は傘マークだったはずだが、まったく降る気配がしない。なんなら日が射してちょっと暑い。

ショッピングモールでは楽器屋に行って、妻が楽譜を買っていた。初心者向けのジブリの楽譜。一応子供の頃にバイエルくらいはやっていたらしいが、昨日キーボードを触っているのを見た感じだと、ドレミの位置さえままならない。そんな妻が三日坊主のくせに弾けるようになるのか甚だ怪しいものだが、いつか息子と連弾するために頑張るらしい。

妻が楽譜を選んでいる間に、息子は赤ちゃん用の太鼓や木琴を叩きまくり、次にそこら中の電子ピアノの鍵盤を手当たり次第押しまくり、最終的にはドラムコーナーに辿り着いた。試しにセットに座らせてみると、スティックを両手に持ち、わけもわからずドラムを叩き始めた。せっかくだからヘッドフォンをつけてやり、自分の叩いてる音を聴かせてあげた。その音が自ら奏でている音だと気づいているのか、いないのか。とりあえず楽しそうだ。

楽器屋を出て、スーパーに夕飯の買い物に行った。青果コーナーでオレンジを手に取り買い物カゴへ放り込む息子。妻が「いらないよ(なぜなら国産じゃないから)」と、何度元に戻しても、息子はオレンジを1個、買い物カゴに入れる。そんな攻防戦をしばらく見ていた。結局息子がキウイに気を引かれているうちに妻の勝利が確定したのだが、息子はそれを知らない。(と、思いきや、家に帰るとキッチンカウンターにオレンジが1個置いてあり、息子が勝利していたことを知らなかったのは傍観者だったこちらであった……)

買い物が終わって家に着くと昼過ぎ。外はまだ晴れていて暖かい。それまで打ちっ放しに行くつもりだったが、走ったほうが気持ちよさそうな気候だったので、ランニングウェアに着替えた。昨年からの左膝の違和感は、走るたびに再発してくるので、今日は万全を期してサポーターを着けた。

街を通り過ぎ、江戸川へ。河川敷を、風を感じながら走る。日射しがあり、風もほどよく、スカイツリーがよく見える。サポーターのおかげで、左膝の調子も悪くない。6.5キロ、膝のことを考えて、それで今日は終わり。

帰宅すると、息子と一緒に風呂に入り、入れ替わりで妻が長風呂タイム。暇な我々は、Eテレで『いないいないばあっ!』からの『おかあさんといっしょ』からの『みんなの歌』からの『みいつけた!』をソファで鑑賞。息子が途中でところどころ踊る。『いないいないばあっ!』や『おかあさんといっしょ』の新しいダンスをもう覚えているようだ。

夕方。いい時間帯に入ってきた。ボーッと眠くなる。ふと見ると、息子がこちらの肩に頭をくっつけて寝息、いやイビキをかいていた。

立派なイビキだ。どちらかの祖父に似たのに違いない。その幼児らしからぬイビキを聴きながら、日が暮れていくのを見守った。

世間では平成最終日と令和初日は随分と大騒ぎだったようで、カウントダウンをしたり、人文字を作ったり、川に飛び込んだりと、盛り上がったらしい。

我が家は、取り立てて何をするでもなく、何を考えるでもなく、いつも通りの普通の日を、家族だけで過ごした。新元号が「心穏やかに、手と手を取り合い、平和に生きなさい」という勅旨だと理解するならば、まさにその通り、和やかに、ただひたすら和やかに過ごした。