2015-01-01から1年間の記事一覧
雲のカーテンの向こうに輝く月。今宵はスーパームーン。たしかにいつもより大きく見える。放つ光も特大だ。星もないのに夜空がひときわ明るい。1時間ほど前、妻は想いを馳せるように見上げていた。今はひとり、ベランダでビール片手に月見。何を願うわけでも…
ビル・マーレイが大好きだ。ナオミ・ワッツも大好きだ。このふたりが出る。ただそれだけの理由で観たかった映画。ビル・マーレイは、偏屈で毒舌ばかり吐く男、ヴィンセントを演じている。こういう役柄はマーレイの面目躍如。煙草を吸って酒に溺れてギャンブ…
ようやく観てきた『ムカデ人間3』。公開開始と同時に観に行く予定だったのだが、なんだかんだでズルズルと先延ばしになり、やっとやっとやっと観ることができた。『ムカデ人間』を観賞したのが4年前。たしか渋谷の映画館だった気がする。「つ・な・げ・て・…
さて、今年の「したコメ」2つめのプログラムは映画秘宝20周年記念企画、『グリーン・インフェルノ』だ。東京国立博物館で開催された「吹替え講座」の直後に浅草公会堂で始まるという過酷なスケジュール。「吹替え講座」が時間を押していたこともあり、浅草…
したまちコメディ映画祭。略して「したコメ」。今年でもう8回目の開催になるそうだ。ここ数年はこの時期が楽しみでしょうがない。前々回に観たショートフィルムフェスティバルは実に楽しかった。グランプリを受賞した『おとなになりたくて』はいまだに覚えて…
始め、コリン・ファース主演と聞いて、随分と地味そうなスパイ映画だなぁと思った。英国紳士の気取ったスパイがイギリスのブラックジョークを放ちながらしれっと事件を解決していく物語を想像した。とは言っても『キックアス』のマシュー・ヴォーン監督作品…
今夜の東京の夜空は晴れている。そして明るい。高層ビルの灯りに照らされているのだ。空に浮かんでいる雲の形がよく見える。なのに、星は見えない。サイパンの夜空には、いまにも降ってきそうなほどの数多の星がすぐ近くに見えた。東京の夜空には銀色の星が…
何もないところでただひたすらのんびりしたい、と妻にわがままを押し通して行ったサイパン。台風13号の影響云々ではなく、明らかに最初から何もなかったんだなあと思わせるほどなんにもなくって額から汗がこぼれた。いや、この汗は南国の太陽に照らされて出…
曇天を突き抜け地上に現れたるは、猛り狂った白き猪。鬣靡かせ、人の往来を脇目も振らず猪突猛進。その蹄に踏みつぶされながらも、信心深き人々は猪神を拝み明日の豊作を願う。もはや疾風と化した白き猪は、大きな足跡だけを残して姿を消していた。遥か彼方…
スコットランドの人気バンド、ベル・アンド・セバスチャンのスチュアート・マードックが脚本、音楽、監督を務めた作品。傷ついた若者3人の短くもキラキラ輝く青春の日々を美しくキャプチャーした映画だ。劇中歌にまず心がさらわれた。その時点でミュージカル…
キル・ビル・キッド(注1)の悲惨な映像を面白動画として紹介しているあたり、かなりゲスい。ここまでひどい映像を流しているかは知らないが、トークがゲスいアメリカのポッドキャストはいくつか聴いたことがある。ぼーっとしているときに垂れ流して聴いてい…
休日出勤の朝、普段よりもゆっくりめの時間帯に地下鉄に乗った。乗客もまばらな車内には、生後7〜8ヶ月くらいの赤ちゃんを胸に抱いた母親が、ガラガラな座席の前に立っていた。彼女は、我が子をあやすためにリズムよく身体を揺らしていた。肩を軽く前後左右…
疲れがたまった上に睡眠不足の日が続くと、人は機嫌が悪くなるものらしく、ここのところイライラが止まらない。特にこの2〜3日は、仕事上苛立たせることが連発したため、各レイヤーにいつになく強い口調でキツイことを言っている。昨夜は久しぶりに4時間以上…
墓地に女性専用区画だそうだ。霊園の新企画として売り出し中らしい。死んでまで男子禁制でいたいのか?死んだ人が女性専用がいいのか、お参りに行く人が女性専用がいいのか。「男に墓を触られたくない」「男に拝まれたくない」「男の僧侶はお断り。尼僧でお…
仕事を終え家に着くと、外から音が聴こえてきた。そのリズムに乗った音が気になり、窓を開けてみた。ベランダから様子をうかがうと、音の出どころは近所の公園だった。町内会の盆踊り大会だ。しかし耳に入ってくる音楽はいわゆる盆踊りらしい音楽ではなく、…
22年前に『ジュラシック・パーク』を観た時の衝撃を覚えている。リアルな生き物としての恐竜がスクリーンに映し出され、映画技術に圧倒されたものだ。その後のジュラシックシリーズについてはあまり記憶に残っていない。観たはずなのだが、どれも肩透かしの…
このタイトルってなんだろう?『存在について考える枝にとまった鳩』という哲学的な原題をやわらかくしたような邦題だ。人間の存在から脱却するのか、人間という存在を諦めるのか。どこか悲観的でもあり、解脱の概念も含まれているような、そんなニュアンス…
8月15日は毎年なんやかんやで仕事をしていたが、大東亜戦争終戦から70年の今年は、きちんと休みを取った。靖国参拝。日輪が神殿を包み込んでいた。「戦後」という言葉を今も使い続けていられるのは幸福なことだ。多くの屍の上にこの命は成り立ち、そして次の…
夏の涼を楽しむ。
先日、昼過ぎにふと思い立ち、そのままふらっと江の島へ。島を寝ぐらにしている猫たちがあちらこちらから顔を出し、出迎えてくれた。少し歩いて汗をかいたので、路地裏にひっそりと佇むカフェに入る。苦めのアイスコーヒーを注文し喉を潤した。ジャズの流れ…
シリーズ最高傑作。満足度100%を保証する、と周囲の人間に言って回らずともみんなどうせ観に行くだろうからわざわざ言わないが、間違いなく今年度トップ10に入る作品だ。映画館に行かない人は絶対に後悔する。おすすめポイント1アクション映画としてワンラン…
6篇のショートストーリーから成るアルゼンチン映画。ブラックユーモアを孕んだこの手のショートストーリーは、子どもの頃に繰り返し読んだ星新一のショートショートが頭の中を埋め尽くしているせいで、どうも新鮮味を感じることが少ない。というよりも、どの…
もともと原作が苦手だった。話題のコミックという触れ込みで書店に平積みされていたので、当時発売されていた1〜3巻くらいまでまとめて買って読んだ。1ページ目から絵の下手さ加減に辟易しながらも、この世界観はきっと面白いことにつながるに違いないと期待…
あまりにも仕事ばかりを詰め込みすぎて、今年に入って予定どおり映画館に行けていないということがさらにストレスを加速させている、と当然のことに気付いていながらも仕事を優先させている今夏。さて、相変わらず仕事は半端ないが、これから怒涛の映画鑑賞…
本作は、9歳で母親と死別し、父親は行方不明で、養子として迎え入れられた親戚とは折り合いがつかず、殻の中に閉じこもって、文字どおりひきこもりとなった少年が見た夢と現の綯い交ぜになった成長記である。自分の中の闇の部分を埋めるには、父親との和解が…
そのカレー屋さんは10年近くおばちゃん一人で切り盛りしていた。自分で作って、自分で給仕して。10人くらいしか入れない小さなカレー屋さん。店内には、おばちゃんの描いた猫の絵がたくさん飾ってあった。昔飼っていたというおばちゃん家の猫だ。その絵を眺…
転職2名。 異動2名。 人の動きが重なった夏。 新天地を目指す者は、寂しさをあとに新たな挑戦に闘志を燃やす。 残された者は、喪失感に押しつぶされないよう力技で乗り越えていく。 真夏のサヨナラほど涙の似合わない別れはない。だから笑顔で送り出そう。
何年ぶりだろう、野球観戦をしたのは。同僚に誘われるがままに行った神宮球場。ほぼ満員の客席はホームとアウェーの色にぴっちり分かれていた。仕事を無理矢理終わらせて着いたのが19時半。試合は4回まで進んでいた。ヤクルトが4-0で広島をリードしている。…
これは、男としての威厳の失墜と復権の物語。フレンチアルプスに5日間のバカンスに出かけた夫と妻と娘と息子。冒頭の写真撮影のシーンに表れているが、この4人家族は一般的に誰もがイメージし得る型通りの幸せ家族だ。仕事人間のお父さんはそれなりの収入を…
夏の終わりに建て壊す予定のそのホテルは、赤ん坊の頃から10代の途中まで通っていた思い出のある場所。今日は遅めの昼食をそのホテルのレストランで取った。久方ぶりの店内は、記憶の中より小さく感じた。窓ガラス越しに中庭が見える席で、懐かしのビーフカ…