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グリーン・インフェルノ (したまちコメディ映画祭in台東 2015)

さて、今年の「したコメ」2つめのプログラムは映画秘宝20周年記念企画、『グリーン・インフェルノ』だ。

東京国立博物館で開催された「吹替え講座」の直後に浅草公会堂で始まるという過酷なスケジュール。「吹替え講座」が時間を押していたこともあり、浅草公会堂に着いたのは開演時間ジャスト。汗を拭きつつ席に落ち着く。会場は当然ながら満席だ。

イーライ・ロス監督のファン、スプラッタ映画のファン、食人族ファン、映画秘宝ファンがすし詰め状態。そんな中、恐らく数パーセントは「コメディ」というこの催し物のタイトルに純粋に引っぱられ、この映画の内容を勘違いして誤って紛れ込んでしまった人もいたに違いない。隣の席に座っていた友人もその分類に属するだろう。特に詳しい情報も説明されず半ば盲目的についてきた彼に、少し後ろめたい気持ちになったので、「これ、食人族系の話だからね」と今更ながらの耳打ち。直後に『悪魔のいけにえ』リマスター版の予告編が始まった。



  2.  楽しい食卓、美味しい食事

アメリカでは9/25に公開を控えており、日本では11月公開予定の『グリーン・インフェルノ』。実は2年前に公開直前までこぎつけていたのに、どこぞの何某がNGを出してしばらく日の目を見なかったといういわくつき。その映画をワールドプレミアとして観られるのはいろんな意味で嬉しい。

イーライ・ロスらしく、設定がきちんとしている。一緒に観た友人は、アマゾンで食人族に捕まるまでの前フリが長いと言っていたが、そこまでの過程を丁寧に描くことで、登場人物ひとりひとりのキャラやポジションがはっきりとして、その後の展開にウキウキできる。また、オチにもしっかりと繋がってくる冒頭のプロットは決してただ長いものではなく、この映画の形を作る上で必要なファクターだ。端的に言うと、とても丁寧に作られた作品だ。

前述した通り、場内はスプラッタ好きな人たちで埋め尽くされているので、普通なら目を背けたり悲鳴を上げそうな残酷シーンでも、どっと笑いが起きる。矢がグサリも、血がドッバァーも、その描写やタイミングが絶妙であればあるほど、大きな笑いが起きる。そう、ホラーとコメディは紙一重なのだ。滑稽であればあるほど恐ろしいし可笑しい。

本作でとても素晴らしかったのは「食事」を大切に扱っていること。一族みんなで美味しそうに人肉を食べる。みんなニコニコしている。大人も子供も嬉しそうに人肉を頬張る。その様子は家族の団欒そのもの。彼らは決して「悪」ではない。異文化ミスコミュニケーションだ。

テーマのひとつに女性器割礼がある。つまりクリトリス切除だ。酷くて非人道的な慣習だが、いまだにアフリカや南米、その他の地域でおこなわれている。この「クリトリス切除」というのが、翌日観ることになる『ムカデ人間3』にも繋がってくるのだが、それは後にわかったこと。

『グリーン・インフェルノ』および「したコメ」を堪能した翌日、とあるカレー屋に入った。目の前のカウンター席に20〜30代の男性が二人、席を一つ挟んで座っていた。二人とも短パンを履いていた。自然と彼らのふくらはぎを見ていたら、形がそれぞれ違うことに気づいた。右の人は普通の体型で、左の人はがっつり太め、しかもただ太いだけでなくしまった肉付きなのだ。さて、不思議なことに、そのふくらはぎが、だんだん美味しそうに見えてきたのだから困った。右と左、どっちのふくらはぎを食べたいかと問われれば、間違いなく左の太いふくらはぎと答えるだろう。この気持ち、共感できる人はどのくらいいるだろう。