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Re:スター・ウォーズ フォースの覚醒 ※ネタバレあり

今年初の劇場映画鑑賞は、昨年末最後に観た『スター・ウォーズ フォースの覚醒』にした。もう一度、落ち着いて観直したいなと思ったのと、未見の妻が私も行きたいと言ったのが、正月休みが明けて年始の仕事が佳境を過ぎた頃で、それじゃあということで今年最初の休日にTOHOシネマズ新宿に向かった。目当てはIMAXシアター。平日午前中の回だったが、それでも客席は7割くらいの埋まり具合。なかなか衰えないスター・ウォーズ熱だが、きっと2回目3回目の人も多くいたのだろうな。

スター・ウォーズ』シリーズは、エピソード4公開時は生まれが間に合わず、エピソード6くらいならもしかしたら映画館で観たかもしれないが記憶にない。それでも旧三部作は、子供の頃にテレビ放送でなんとなく観ていた。柔道着みたいなのを着た若い白人が、黒ずくめの仮面男とライトセーバーで戦っている姿には少し興味をそそられたが、それ以上にC-3POR2-D2の掛け合いが好きだった。あと、ストーム・トルーパーがお気に入りだった。サイボーグっぽいところがかっこよく目に映ったのだ。(実際にサイボーグなのはダース・ベーダーのほうなのだが。)ストーム・トルーパーとC-3POのちっちゃなフィギュアを持っていた気がする。R2-D2のゼンマイ仕掛けのオモチャも持っていた。

そして、後年。新三部作が公開されることになるのだが、劇場鑑賞はスルーした。10代から20代の頃は、観る映画にだいぶ偏りがあった。当時はSFものに苦手意識を感じていたので、『スター・ウォーズ』の新作も興味の範疇になかった。子供の頃のことは思い出したが、今さら昔の思い出をなぞるようなものだろうと、はなから気にもしていなかった。また、周りでカルト的に盛り上がる人がいればいるほど、遠ざけたい気持ちにもなった。今となってはバカげた話だ。

今回、『フォースの覚醒』が公開されるにあたり、依然としてにわかファンにすらなれないまま、とりあえずエピソード1〜6を自宅で鑑賞。この年になってちゃんと観てみると、なかなか面白いことに気付く。これって、つまりガンダムなんだとわかった。それから、ストーム・トルーパーがサイボーグでもロボットでもないことを知った。『スター・ウォーズ』について最低限の下地が出来たので、世間の熱が高まっているうちに新作を鑑賞することができた。

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『フォースの覚醒』は、きれいな三幕構成となっている。

まず、ポー・ダメロンとBB-8がスクリーンに現れる。程なくしてファースト・オーダーによる激しい夜戦。赤い血を流すストーム・トルーパー。このシーンがかなり衝撃的。ストーム・トルーパーってやっぱり人間なんだ!

そして、ダース・ベーダーの二番煎じのような男、カイロ・レン。こいつのフォースがめちゃくちゃ強いという描写が続く。捕まったポーをフィンが助け出し、一緒にタイ・ファイターに乗ってスター・デストロイヤーを脱出するシーンはワクワクする。すごくいいバディ感が出ている。

フィンとレイが一緒にミレニアム・ファルコンで戦うシーンもゾクゾクする。あのコンビネーションも見事だ。壊れた重機座からでも相手を狙い撃ちできるようにミレニアム・ファルコンを操るレイに惚れ惚れしてしまう。そして、レジェンド、ハン・ソロとチューバッカが登場して、第一幕はピークを迎える。

続いて第二幕。マズ・カナタのバーの地下でライトセーバーを見つけたレイは、不思議な幻覚体験をする。ここで、少しだけレイの過去に何があったのかが見えるのだが、彼女が何者かはまったくわからない。BB-8の折れたアンテナを直してあげたり、悪い奴らに果敢に立ち向かったりと、正義感は人一倍強い凛とした女の子ということは間違いない。そして、何か悲しい過去を引きずっているようでもある。

一方、レイの正義の心とは真逆なのが、ファースト・オーダーの最終兵器だ。一発で惑星を滅ぼしてしまうなんて正気の沙汰ではない。

ハン・ソロ達が危機一髪というところで登場するXウィング部隊は超かっこいい。フィンと一緒にこちらのテンションもグンと盛り上がった。「あのパイロット、スゲーぞ!」それがポーだとは知らずに興奮するフィンが可愛くてしょうがない。

レジスタンスの勝利かと思いきや、レイがカイロ・レンに拉致されてしまうところで第二幕が終わる。

第三幕は、レイアの登場でスタートする。年取ったなぁ。でも、若い頃より今のほうがきれいかも。昔は、ルークの「きれいな人だ」というセリフに納得がいかなかったものだ。それを思えば、レイアは良い経年変化をしている。

BB-8が動かなくなったR2-D2を父か兄のように慕っている姿が切なかった。このBB-8の感情表現豊かな演出は、本作を構成するとても重要な要素の一つだ。過去のシリーズでは、R2-D2の言葉はC-3POやルークが訳してくれないとわからなかったが、BB-8に関しては何を言っているのかがストレートにわかる。だから、ドロイドなのにすんなり感情移入ができてしまうのだ。

感情移入と言えば、フィンのことを忘れてはならない。本作は、フィンというシリーズ初のコミカル且つ何者でもない未完成なキャラクターが、ストーリーに大きなうねりをもたらす。スターキラーベースで元上官のファズマを捕まえた時なんて、「俺が命令する番だ!俺が命令するんだぞ!」とか言っちゃって、もう完全に中学生。こいつスゲー愛せるヤツだなぁと思った。ちなみに妻は、こいつほんとウザイ、と思っていたらしい。なんか悲しい。サイボーグかロボット(のようだ)と思っていたストーム・トルーパーが、こんなに生々しい人間だったなんて、この設定はシリーズに大きな変革をもたらしたと言えよう。

本作にはもう一人、中学生がいる。カイロ・レンだ。事が思い通りに運ばないとすぐにキレる。部下達も口には出さないが、きっと「またか…」と思っているに違いない。ライトセーバーをぶんぶん振り回してフォースの無駄使いをしまくる。頭は足りないが力だけは有り余っているものだからタチが悪い。反抗期が未だ続いているカイロ・レンは、父親を殺してしまう。若い子供が親を殺してしまう事件は、よくニュースでみる。まさに現代っ子らしい悪キャラだ。フォースの覚醒したレイに滅多打ちにされるカイロ・レンが、次回作でどんな悪さをしてくれるのか楽しみだ。きっと、ものすごく卑屈な目つきで現れるのだろうな。

最後のシーンで、年老いたルークが振り向いたときは鳥肌ものだった。レイが語らずとも何が起きたのかフォースで感じ取ったルークの目に、うっすらと涙が浮かんだように見えた。嗚呼、ルークよ、なんで姿をくらましたんだい⁉︎

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ソロやレイアなど昔馴染みのキャラクター達が楽しませてくれる一方で、レイやフィン、BB-8やポーなど、魅力的な新しいキャラクター達が大活躍する本作は、旧世代から新世代へのバトンタッチが見事に成功した作品だ。

映画をエンターテインメントという言葉に置き換えるなら、本作は文字通り観客をエンターテインしている。映像的にもストーリー的にも楽しいし、次回作への期待に胸が弾む。映画史に残る体験をリアルタイムでできていることが実感できる一本だ。そして、何より本作が嬉しいのは、「新しい時代は過去の遺産を受け継いだ私達が作る」という作り手達の意思表示を感じたことだ。それはとても勇気のあることだし、観る者に力を与えてくれる。こういう映画体験が、人生の支えになると言っても過言ではない。