バクマン。

大根仁監督作品。その名前を聞いただけで、まず間違いなく面白いんだろうなと期待できる。

原作漫画は数年前に途中まで読んでいた。今も続きが読みたい漫画のひとつ。続きを買わなくちゃいけないのは他にもたくさんあって、闇金ウシジマくんとか、土竜の唄とか、ULTRAMANとか、ウロボロスとか、キン肉マンとか……。

始めから終わりまで漫画愛、ジャンプ愛一色の素晴らしいエンターテインメント。神木隆之介のシュージン役はピッタリ。『桐島、部活やめるってよ』に続くハマリ役だ。佐藤健のサイコーも、彼に似合わず「ウォー!」とか叫んじゃったりして、なかなかいい青春っぷりを見せてくれる。

他にも、編集長のリリー・フランキーだったり、担当編集者の山田孝之だったり、主人公のライバルであるエイジ役の染谷将太であったり、キャスティング大成功。とりわけヒロイン小豆役の小松菜奈から放たれる透明感は秀逸。彼女だけ唯一の女性ということもあり、その存在が漫画チックにデフォルメされているのだが、その表現方法に小松菜奈の存在感がうまくマッチしていた。

そして、本作において特筆して評価すべきは美術だろう。ジャンプ編集部、サイコーとシュージンのアトリエ。他の漫画家たちのアトリエ。作り物っぽさがなく、その世界観にスーッと没入させてくれる。編集部での会議シーンは実にリアリティがある。実情は知らないが、あんな感じなんだろうなと思わせる。古本屋もいいシーンだ。昭和テイストの溢れるあんな古本屋、都内だったら高円寺あたりか?漫画を読みふける子供たちもいい。

それからサイコー&シュージンとエイジが繰り広げる漫画バトル。プロジェクションマッピングを駆使して撮影したらしいが、漫画を描くという見た目が地味な作業をうまく表現できており、飽きさせない。

エンドロールは『モテキ』を観た人なら絶対に期待してしまうわけだが、その期待を裏切らずやっぱり楽しませてくれた。

終始一貫、友情・努力・勝利をテーマに清々しく、フィクションの嘘を感じさせない程度に熱く、ジャンプ黄金期を過ごした少年時代を回想させてくれる楽しい映画だった。

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