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ナイトクローラー

今年観た映画の中では5本の指に入る面白さ。盗みでなんとか生計を立てているチンケなサイコパスが、事故や事件の報道カメラマンとしてのし上がっていくサクセスストーリーだ。

『落下の王国』や『ボーン・レガシー』などの脚本を手がけてきたダン・ギルロイによる初監督作品。本作の脚本もギルロイが務めている。

主演はジェイク・ギレンホール。『ブロークバック・マウンテン』、『ゾディアック』、最近では『複製された男』での好演(怪演)で観客の心を鷲掴みにしている。そんな彼が演じるルイスというサイコパスは、この資本主義社会が産み落とした悪魔とでも言うべき存在で、人並み以上に優れた吸収力と学習力で報道カメラマンとして成功していく。

成果主義の世の中に腐ることなく立ち向かっていくルイスの姿に感銘を受けると同時に、彼の倫理的感情の欠如と宗教的な盲目さに戦慄を覚える。

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この作品で面白いのは、ルイスのセリフだ。彼の言葉はネットで拾ってきた訓示や名言をそのままなぞっているだけなのだが、自信満々に、さも自分の内側からあふれるエモーションが言語化しましたと言わんばかりに語るのだ。そして、本人は至って真面目に、ここが見せ場だという感じで独演を始めたところで、大仰な音楽がかかる。この音楽の使い方、最高。まるで感動シーンのような演出だが、客観的な視点からは(つまり観客からは)、「何言ってんの?コイツ……」と思ってしまう滑稽なシーンなのだ。このギャップを楽しめる名シーンが2、3箇所あった。

ギレンホールの役作りはパーフェクトだ。瞬きをしない目はまるでミミズクのようにギラギラしている。猛禽類の獰猛さや狡猾さを連想させる。ニュース番組の敏腕ディレクターを演じるレネ・ルッソのケバケバしいメイクも役所を掴んでいて素敵だったし、ルイスの助手役のリズ・アーメッドの貧困層の雰囲気と小物感が役柄にバッチリはまっていた。

脚本が面白くて、キャスティングに成功していて、音楽や編集がうまくいっている映画は、何度だって観返したい!と思うのは当たり前の話だ。