2021 day205

昨晩のTOKYO2020の開会式は、選手の入場式だけにしておけばよかったのにと思えるほどつまらない内容だった。つまらないだけじゃなく、まとまりがなくわけがわからん内容だった。

唯一目を惹かれたのは、ドローンの群れが作り出した球体。あれだけはすごいと思った。

あとはほぼほぼワールドワイドなセレモニーとしては貧弱というか、せいぜい国内向けのテレビサイズというか、わかりやすく言うとEテレ枠の番組程度の演出だった。

火消しの唄とか木の輪の五輪とか森山未來コンテンポラリーダンスとか、別にいいんだけど迫力もなけりゃ高揚感を煽られることもない。

海老蔵もしばらく〜を繰り返した後は着物をモチーフにしたドレスを着たジャズピアニストに画面を占領されてしまい、最後にちょっとだけ見得を切っておしまいで、何のために出てきたのか皆目わからない。またこのジャズピアニストが執拗にカメラ(観客)に向かって「グルーヴ溢れちゃうねー」的な笑顔をニカッと向けてくるのが気持ち悪くなってしまい、これは苦手だった。とにかく意味不明な海老蔵とジャズピアニストのコラボ。(コラボできてたとは思えないけど。)

劇団ひとりのベタなコントも、なだぎ武らの必要とは思えない寸劇も、本人たちには罪はなく、ただひたすら演出家にスベらされて可哀想だった。(劇団ひとりのとき、会場内では笑いが起きていた。選手たちの笑い声だとアナウンサーが言っていたが、笑ってるの日本の選手だけなんじゃない?と思った。だって、つまらないんだもの。)

あと、ピクトグラム。50種目全部マイムでやるってやつだが、惜しくも途中で一度失敗したのはこの際どうでもよく、そもそもこのピクトグラムEテレ感の最高潮だった。アナウンサーが、カメラワークを上手に使ってますね〜だって。プロでも他に言うこと思いつかないわけだ。これいったい誰が楽しんでるんだろう?

さらに音楽は、ドラクエすぎやまこういち)とイマジン(ジョン・レノン)という相反する思想を同じ箱に詰め込んだカオス。右翼思想の音楽家と労働者階級のヒーローをぶち込んで、Togetherだって。ルー大柴を連れてこい。(というかね、イマジンもいい加減こすられ過ぎてるのにそれでもまだ使うのかい?しらけるだけじゃない。もちろんいい曲だしジョンは好きだけど、こんな何十年と使い古された手口でいったい誰が感動するわけ?あとあの即席でさっき作りましたみたいな安いMVみたいのは何?)

そうだ。せっかくならジョン・レノンの「Woman is the Nigger of the World」を歌ってくれたならよかったのに。もう幾重にも話題になるだろう。

聖火リレーでは、福島・宮城・岩手の子供たちが出てきたので、最近一切触れられなくなった復興五輪という言葉も申し訳程度に混ぜておくのねと思ったが、よくよく考えてみればこんな遅い時間に子供たちを出してよいのかという疑問が生まれ、純粋な気持ちで観られなかった。

選手の入場式も、ちょっと違和感を感じたのは、米国の大軍団が「U.S.A.!」と密になりながら大声で入ってきたところとか、日本の選手がマスクから鼻出ちゃってるところとか、この人たちほんとにわかってるのかしらん?と思ったのは自分だけだろうか?

あといろいろ感じるところがあったのは、橋本聖子とバッハの長ったらしい挨拶の後の天皇陛下の必要最低限で端的な開会宣言。この対比が何かを物語っている感じがした。それから、陛下が宣言をされている最中にようやく立ち上がった菅首相の姿は見逃さなかった。あれはうっかりだったのか、別の理由があったのかはわからない。わからないけど、あの表情で陛下の隣に座っている姿にはなんか腹立つ。

小山田問題に端を発してトカゲの尻尾切りのように開会式の前日に突然解任された小林賢太郎は災難だったと思うが、この演出は本当に残念としか言いようがない。ラーメンズやぽつねんは好きだけど、この舞台はつまらなかった。日本的なものをふんだんに詰め込みたかったのだろうが、もっとコンサバで無難な演出のほうがずっとマシだった。今回のは、外国人がやるような間違った日本的演出という感じと、勘違いしている系の日本のテレビ界と広告代理店がのけぞって作った挙句にまとめ役がいなかったみたいな感じ。火消しとか大工とかやるんなら、ねぶた祭りとか、よさこいとか、それこそ仙台七夕祭りとか、日本各地のお祭りで演出したほうがよっぽど日本らしさがあって見応えがあったと思う。

最後の花火の演出もしょぼかった。国立競技場の屋根で鼠花火を散らすってなに⁉︎日本には素晴らしい花火職人がいるじゃないか。花火大会ができない代わりに、その人たちにこういう場で活躍して貰えばいいのに!

このまとまりのない開会式演出は、今回の辞任・解任劇に伴い直前で変更されたから?予定通りの演出だったのなら、小林賢太郎の名前はクレジットすべきだ。でも中途半端にいじられてしまっていたのなら、クレジットされるのは汚名だな。

オリンピック開催の是非はさておき、残念な開会式だった。