2020 day174

土曜日は、昼頃に親の家に行き、マンションの地下倉庫に置いてある自分の荷物を整理した。段ボール3箱。開いてみると懐かしい思い出の品々。

懐かしいものひとつめ。漫画。

ジョジョの単行本。30巻くらいまで揃っていた。14巻以降は全て第一刷り。そう、初めて買ったジョジョの単行本はこの14巻だった。確か蒲田の駅ビル内の本屋で買ったのだ。当時はまだジャンプを読んでいなかったので知らない漫画だったが、その表紙に惹かれて手に取ったことを覚えている。ここからハマったんだなぁ。あれがジョジョとの出会いだった。子供の頃、一番読み返したのがこの14巻と続く15巻だった。

あと、奇面組。それとこち亀。東京爆弾もあった。北斗の拳愛蔵版も。これはハードカバーの紐しおりつきだ。

懐かしいものふたつめ。10人の漫画家の10の旅、9人の漫画家の動物たち。これは有名な漫画家たちによる絵本。長新太馬場のぼるなどのサイン入り。デパートでサイン会をやっていて、〇〇くんへ、と自分の名前も書いてもらっている。このときはもう小学校の高学年だったが、詩や散文にハマっていた自分は、この絵本の世界にもアートを感じてとてもお気に入りだった。この絵本は、いま息子に読んであげたい。

懐かしいものみっつめ。日本語の小説。

星の王子さま冒険者たち、坊ちゃん。冒険者たちはネズミのガンバと仲間たちの冒険譚。泣いたなぁ。坊ちゃんは、小学生が読んでもわかる丁寧な注釈つき。息子が小学生になったら読ませてあげよう。

懐かしいものよっつめ。英語の小説。

アメリカに住んでいた高校生時代に読んでいた小説。アウトサイダー、偉大なるギャッツビー、ライ麦畑でつかまえて蝿の王アラバマ物語、透明人間、高慢と偏見、白鯨、大いなる遺産、エドガー・アラン・ポー作品集、マイケル・クライトン作品集などなど。それから、若い役者向けの戯曲集とか。これは青春のプレイバックだ。

そんなこんなでいるものいらないものを整理し、夕方は4ヶ月ぶりの美容室へ。緊急事態宣言もなんとか乗り越え、生きながらえてくれていた。20年来の付き合いの美容師さんが元気そうでなにより。伸びきった髪をさっぱり短くしてもらうと、気分爽快に。鏡に映る自分が若返っていた。また今度飲みましょうと約束して店を後にした。

地下鉄に乗って移動し、夕飯はデリーでチキンバリカレーを。テーブルに備えつけのオニオンピクルスを多めに混ぜて食す。うまい。満足。

家に帰ると猫とふたりきり。妻と息子は久々に妻の実家に行っているので、家の中は静か。寂しい。とりあえずギターを弾いたり、Netflixを観たりする。そのままソファで寝落ち。途中で起きて寝室に移動。布団の上に寝転がると今度は眠れない。仕方ないからラジオを聴く。2時間番組を聴き終わってもまだ目が冴えてる。さっきはあんなに眠かったのに。

布団でゴロゴロしているうちに、誰もいないはずの部屋の中に動くものが。それは気がつくと目の前まで来ていた。また心霊現象か。ついこの前も金縛りにあったばかりだし。疲れてるのだな。そのなにものかの存在を不気味に思いつつ確かめようと手を伸ばしたらフサフサの感触が。猫だった。猫が隣の部屋からやってきたらしい。おかしいな。部屋の前に設置してあるゲートをどうやって超えてきたのだろう。まあ、いいか。枕元で丸まって寝に入った猫を撫でながら、自分もいつのまにか眠りに落ちていた。

翌朝。目を覚ますと隣に妻と息子がいないので、ああもう起きてリビングにいるのかな、などと寝ぼけていたのは最初の5秒だけ。ああそうだ、いないのだ。起こした上半身を元に戻し、枕元の猫に手を伸ばした。が、指先が空を切った。いない。猫がいない。枕元に目をやったが、愛猫の姿はそこにはなかった。すると、猫の鳴き声が寝室の外から聞こえてきた。立ち上がりドアを開けると、向かい側の部屋のゲート越しに、猫がこちらを向いて座っていた。ああそうか。昨夜のあれも夢だったのか。

夢と現の境目がなんだかわからなくなり、ふたたび布団に戻り二度寝したのだった。そして日曜日はあっという間に終わる。