2020 day33

今週末、快晴で過ごしやすくラッキーだ。

この前の水曜日に、車で息子の病院に向かう途中(定期検診)、首都高から見えた富士山が天晴れで、妻も自分も興奮して歓声を上げた。その日も空は澄み切った青で、富士山の裾野からてっぺんまでが、ドーン!と車のフロントガラスいっぱいに映り、まあ立派なこと。青空に囲まれた雪化粧のお顔が本当に雄々しくも美しく、見惚れてしまいたいのだが運転手だからそれも許されず、ひたすら「おお〜」と唸り続けた。

今日もその日に負けないくらいの快晴で、せっかくだから息子と出かけようと、11時半くらいに家を出た。あまり体調の良くない妻も後から合流すると言うから、ショッピングモールにでも行って、外に設置されている子供用のアトラクションコーナーで遊ばせて、妻と合流してからモールの中をウロウロしようかと考えながら、息子と駅に向かって歩いて行った。

途中いつも通りかかる小さな公園で、息子が遊びたいと、未熟な言葉+ジェスチャーで伝えてきたので、遊ばせてあげることにした。

自分はベンチに座り、時折息子に声をかけて、遊ぶのを見守った。他にも数組親子連れがいて、息子は同い年くらいの子たちとなんとなく一緒に遊んだり離れたりしながら、楽しそうにしていた。

30〜40分ほど経って、息子が股に手を添えながら近づいてきた。

「ちっち」

おしっこがしたくなったというので、急いでその場を離れ駅の中の商業施設に向かった。公園に未練を残している息子の手を引っ張り、駅へと急ぎ、だれでもトイレに無事到着。漏らすこともなく用足しができて一安心。実はこれ、自分にとっては息子と初の外出時のトイレ体験だった。大変だけどちょっと嬉しい。

それからちょっとして妻が現れ、さてどこに行こうかと迷い始めた。なぜならもう13時半。今からショッピングモールに行くと、なんだかんだで3〜4時間はいるだろうから、家に着く頃には暗くなっている可能性大。それは嫌だ。息子はもっと公園で遊びたそうにしていたし、せっかくの天気だから近所のもっと大きな公園に行くことにした。

その公園は妻と息子はたまに遊びに行っているらしいが、自分は初。バスに乗って10分くらいで着いた。

駅で買っておいたお昼ご飯を公園のテーブルに広げてまずは腹ごしらえ。息子はロールパン半分とピザ一切れだけ食べると、さっそくすべり台に向かって走って行った。我々夫婦も適当に食事を済ませ、息子の近くのベンチに移動した。

息子は、遊具で遊んだり、他の子たちと一緒にラジコンカーを追いかけたり、パパやママとも追いかけっこをしたりして、この青空の下、永遠に続いてほしいと願う楽しくて幸せな子供時代のひとときを全身で満喫していた。

まだまともに喋れないけど、発達は遅れているけど、幼稚園に通えるかどうかわからないけど、いじらしくも健気に生きている息子の笑顔を見て、彼の幸せを願わずにはいられなかった。

2時間くらい遊び、日も少し陰ってきて、やや肌寒くなってきた。夕暮れになる前に帰ろう。

「そろそろ帰ろうか」

妻にそう言うと、「じゃあもうすぐ帰るよって伝えてあげないと」と言い、アスレチックの櫓の上に立っている息子に声をかけに行った。15分くらい、帰るまでの猶予時間を息子に与えてみたが、案の定「イヤ」を連呼した。でも疲れているのには違いなく、妻が抱っこすると落ち着いた。

バスに乗り地元の駅に戻り、駅のスーパーで買い物をした。妻が「ニンジン取ってきて」と息子に頼んだ。息子はくるっと背中を向けるとパーッと我々から離れ野菜コーナーに向かって行った。指示した妻は反対側のほうに何かを探しに行ってしまい、カゴを持ち残された自分は、その場から息子の小さな姿を目で追った。

すれ違う人にぶつからないよう気をつけながら、息子は野菜コーナーへと近づいて行く。角を曲がり息子の姿が消えた。数秒後、ニンジンの袋を抱えて息子が現れた。ニンジン4本入りの袋を両手で抱えて、人混みに流されないよう右に左に避けながら、息子がこちらに向かってくる。

戻ってきた妻が「どこにいる?わかったかな?」と訊いてきた。

「大丈夫だよ、ほら」

大人と大人の隙間から息子の小さな姿が見える。その手にはニンジン。どうやら頼んでみたもののできるという確信を持っていなかった妻は、痛く感動したようで、息子の名前を呼び、

「すごいね!よくわかったね!えらいよ、おりこうさん!」

そう言って息子を抱きしめた。

子供は成長する。うちの子も意外とできることが増えた。遊べる遊具も増えたし、他の子に興味を持ち一緒に遊ぼうとするようになったし、スーパーでお手伝いもできるようになった。

今、遊び疲れてソファで寝てしまった息子の寝息を隣で聞きながら、この文章を書いている。パパの時間は君のためにあるんだよ、と伝えたい。