2019 day278

『JOKER』を鑑賞。公開2日目にしてパンフレットは完売だった。

舞台はゴッサムシティだが、アメコミでもヒーローものでもなく、『バットマン』の敵キャラであるジョーカーをモチーフにしたヒューマンドラマ。社会の底辺で生きる男がジョーカーというキャラクターを確立するまでの過程を描いたドラマだ。

ヒーローものの中では割とシリアスかつジメッとした雰囲気のある『バットマン』だが、コミック要素を一切排除し、リアルな人間像を丹念に描くとこういう物語が浮かび上がってくる。一連のDC作品とも、もちろんMCU作品とも、まったく一線を画した映画で、同じ土俵で語ることはできない。

アーサーの泣き笑いが苦しい。狂人という一言で片付けることは憚られる。共感と否定が心の中で蠢き、スクリーンからは片時も目が離せなかった。

ジョーカーはアンチ富裕層のヒーローとして祭り上げられるが、彼は決してヒーローではない。想いは十分に伝わるし、その傷を癒せるものなら癒したいと思うが、正しい行いに人生を方向付けられないジョーカーは、やはり"敵"なのだ。だから憧れることはないが、でも、嘘のない人間を嫌いになれるだろうか?