2019 day233

反社会勢力の話からタレントとの契約問題に話が発展しチンプンカンプンな会見を5時間も行う大手芸能事務所社長がいたり、あおり運転に留まらずさらには暴力を振るう輩がいたり、国を挙げて嫌日運動を繰り広げ航空機を運休させる国があったり、総理官邸で結婚発表をする国会議員がいたり、タピオカを貪るだけでなく遂にはランドマーク化してみたり、世の中いろんなことが大なり小なりあるけれど、本当に重要なニュースっていったいなんなんだろう?と我に返ってみれば、やはり生活のことや仕事のこと、足下につながる話が一番大事だ。

ジリジリの夏も一旦落ち着き、曇り時々雨のここ最近、自分の気持ちも天気模様と同期している。家庭に関していえば子供のことや住まいのことなど抱え続けている悩みはあるが、今は仕事における悩みのタネが大きくて多すぎて、それが時に心の中に雨をザーザーと降らす。

今後の収支の組み立てと、体制の再構築、運用の整理、そして何よりも人員調整が脳内の8割を占めている。普段は通勤途中でradikoを聴いたり動画を観たり本を読んだりしているが、この数日は、どう説明しようか、誰を残そうか、異動させる人の受入先とのマッチングをどうしようか、などということをずっと考えている。

そんな調子で帰宅しても仕事のネガティブなことが頭から離れず全然リラックスできないので、無理やり気分を変えるために、最近加入したNetflixで『全裸監督』を痛飲しながら観ている。今の時代の地上波ではできないことを思いっきりやっていて、ちゃんとお金もかけて制作しているので、刺激もエンタメ性も完成度も高く、前評判を上回る面白さに舌を巻き、脳内麻薬がバクバク出てきてしまう。

村西とおる黒木香がテレビに出て茶の間を沸かせていた80年代後半はまだ子供だったので、彼らがエログロ的な存在であることには感づいていたものの、その実態は知らなかった。クリスタル映像やらハメ撮りやらを知るのはもう少し後の話だ。はっきりとわかっていたことは、ふたりとも奇人変人の類であるということだった。

村西とおるを見ると藤岡弘、を思い出すのはきっと顔貌が似ているからで、同じように黒木香とセットで思い出すのは池上季実子。子供の頃にテレビで観た混濁とした記憶が混ざり合う。

ヒット商品はいくらでも二番煎じ三番煎じが登場出するのが世の常だが、彼らのフォロワー的な存在を知らない。AV業界にはもしかしたらいるのかもしれないが、テレビ業界にはいるのだろうか?と考えてみる。すると、黒木香のフォロワー的な存在に思い当たった。

壇蜜だ。

丁寧な言葉遣い、礼儀正しい佇まい。才女でありつつ、エロティシズムを武器にしている。潤いがあるけれども凛とした瞳を持ち、全身から溢れ出す背徳感はまさしく愛人キャラ。方やキリスト教、方や仏教と、宗教に通じているところも共通している。壇蜜にはワキ毛はないが、生やしていても違和感を感じさせない。蝋人形のようなAIロボットのような作り物じみた雰囲気も似ている。

ああ、そうだ、壇蜜だ。そうかそうか。なんか腑に落ちた。ところで黒木香は今どうしているのだろう?

そんなことを考えてみたりすることで頭のスイッチをオフにして、今宵も『全裸監督』を視聴する。もちろん片手にはグラスを持って。