順番待ち

順番待ちのできない大人が増えている。例えば顕著なのが電車の順番待ち。ホームで次の電車を待っている。先頭に立っていると、次第にぞろぞろと横や後ろに列ができ始める。やがて電車がやってくる。降りる人の為にドアの脇に寄ろうとすると、いつの間にか自分より前のポジションで電車に近づいている人がいる。大概の場合でジジイかババアだ。降りる人も降り切らないうちに、そのジジイやババアは電車に乗り込んでいく。こういう奴らのために高い年金や税金を払っているわけではないと度々思う。

 
高齢者だけではない。若者でも順番を知らない奴がいる。今回もやはりこちらが先頭で並んでいた時の話だ。ホームに入ってきた電車は回送だった。アナウンスでもしきりに回送だから乗車するなと言っている。が、順番待ちのできない奴は人の言うことも耳に入らないようで、その20代くらいのスーツを着た男は、スマホ片手に普通に回送電車に乗り込んで席に落ち着いた。他にもうっかり乗り込む輩がいるので、そいつは自分の間違いになかなか気づかない。再三アナウンスが流れ、様子がおかしいことに気づき始め、ようやく回送電車ということを理解して降りてきた。そして何故か順番待ちの列の先頭に立つ。お前は一体誰なんだ?そいつの後頭部を見つめながらそう思った。
 
パン屋でも順番待ちのできない奴がいた。そのパン屋では客が一列に並び、3台くらい用意されたレジに順番に通されていく。いわゆるフォーク型のレジ前ラインだ。ひと通り買いたいパンをお盆に乗せ終わった妻が、その時は誰も並んでいなかったレジ前に進んでいくと、後ろから倍速の動きで近づいてくるケバい中年女がいた。その女は店がわざわざ塞いでおいた通路を通り、妻を追い抜きレジに到達した。妻は自分の眼の前に突如現れたケバい女にも動じることなく、ほかのレジへ歩を進めた。エライぞ、妻。
 
年寄りだから許される。人を押しのけてでも先に行きたい。
 
ちょっとズルをしても大丈夫。どうせ気づかないでしょ。
 
そもそも順番なんて概念がない。空いてるスペースがあるから入り込むだけ。
 
世の中で起きている不幸な争いごとの半分は、こういう順番待ちのできない輩たちのつまらない小競り合いなのだろう。