オデッセイ

普通、火星に一人取り残されたら嘆くし、食料の残数を計算して次の探索隊が来るよりはるか前に尽きるとわかったら、誰しもが絶望のどん底に堕ちるはずだ。でも本作の主人公マーク・ワトニーは、とにかく前向きに、努めて明るく、この過酷な状況を乗り越えようとする。

水を作り、畑を耕し、芋を栽培して、地球からの救援が来ることを信じて、逞しく生き延びる。観ていて希望が湧いたし、火星でのプランテーションは非常に興味深かった。

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邦題の『オデッセイ』は「長い冒険の旅」というような意味合いで付けられたのだろうが、どうもしっくりとこない。マークは旅の途中で仲間とはぐれ、彼の地に留まりサバイブしているのだ。放浪しているわけではない。原題の『THE MARTIAN』こそピタリとはまる。マークは火星で食物を作った最初の人で、すなわち火星を植民地化したわけだから、やはり彼はマーシャン(火星人)だ。

原作は新人作家の小説で、これがベストセラーとなり、一般読者だけでなくハリウッド関係者やNASAの科学者達も虜にし、今回の映画化に至った。アメリカン・ドリーム、恐るべし。