ブラック・スキャンダル

本編は予告編の印象とは異なり、重くスリリングで、『グッドフェローズ』と同じ路線の映画だった。つまり大好きなタイプの作品。

本作では、アイリッシュ・ギャングの実話をベースに、ジョニー・デップがいつもの如く特殊メイクを施しながらも、ファンタジー映画では絶対に見せない迫力や狂気をフルで吐き出していた。

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ギャングの親分ジェームズ・バルジャーことジョニー・デップの目とポスチャー(姿勢)が素晴らしい。相手の心臓を鷲掴みにするような鋭い眼光も素晴らしいが、彼のどこか空虚な目つきや猜疑心に満ちた目の移ろいに、観ているこちらは次の展開に期待と不安を覚えドキドキしてしまう。それから歩き方と立ち方。鍛えて引き締まった身体と親分然とした態度を違和感なく表現している。

すっかりファンタジー俳優として定着してしまったジョニー・デップだが、彼のこういう演技を観てみたかったのだ。ちなみに、昨年『Mr.タスク』で演じたギー・ラポワンテも、特殊メイクとファンタジー感はあったものの、迫力のある魅力的なキャラクターだった。

本作のキーワードは「絆」と「忠誠心」。マフィア映画と違い、裏切りがないのが特徴的だった。