ブリッジ・オブ・スパイ

この映画は「お父さん映画」だ。家族を養い守り、心配をかけまいと時には優しい嘘をつく。そして、自分の仕事に信念を持って、危険な状況にも挑戦し目的を達成させる。実はうちのお父さんもこんな風に重要なミッションを背負ってるのかしら、なんて世の子供達には想像してほしい。

作品中のセリフで心に残ったのは、「何度でも立ち上がる男」と「憲法が私たちをアメリカ人たらしめている。だからルールなんて文字は俺の辞書にはないなんて言うな」だ。前者はアベルの言葉、後者はドノヴァンの言葉だ。

「何度でも立ち上がる男」
いろんな可能性を模索してアベルに順当な判決が下るよう奔走するドノヴァンを見て、アベルが昔の記憶を呼び起こす。幼い頃に見た、殴られても殴られても立ち上がり抵抗する男。アベルは、ドノヴァンがその男のように不屈の精神を持っていると感じたわけだ。

憲法が私たちをアメリカ人たらしめている。だからルールなんて文字は俺の辞書にはないなんて言うな」
ドノヴァンがCIAエージェントに対して放った言葉だ。論理的思考を持つ彼らしい言葉であるとともに、正しい魂の持ち主であることが伝わってくる。アメリカは移民の国。スコットランド、ドイツ、ポルトガル、オランダ、etc.。様々な国を祖国に持つ彼らが「アメリカ人」として認められるのは、アメリカ合衆国憲法が彼らを国民として束ねているからだ。つまり、どんな立場であろうと合衆国憲法を無視することはあり得ない、とドノヴァンは諭している。この一言でCIAエージェントを黙らせるなんてかっこいいじゃないか!

そして最後にもう一つ。「他人がどう思おうが関係ないさ。自分のしたことは自分がよくわかっているだろ?」こんなかっこいいセリフをお父さんが言っていると想像してごらん、世の子供達よ。胸が熱くなるじゃないか。

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