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一番福

日常
兵庫の西宮神社で毎年開催される開門神事福男選び。今年は、陸上部に所属する高校生が、見事一番福に輝いたそうだ。

そもそも開門神事福男とはなんなのか?

以下、西宮神社のHPより抜粋。
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居籠(いごもり)
一月九日の宵えびす、大勢の人で賑わう中、十日えびすの宵宮祭(よいみやさい)が行われ、深夜十二時にはすべての神門が閉ざされ、神職は居籠(いごも)りに入ります。(中略)大祭を行う前に身を清め、心を静め、午前四時の十日えびす大祭を厳粛裡に執り行います。(中略)
近世以前は、(中略)静かに夜明けを待ち、午前六時を期して開かれる表大門(赤門)より続々と、そして先を争うように参拝していたようです。

開門神事(かいもんしんじ)
そして現在は、開門を待っていた数千人の参拝者が一番福を目指して二百三十m離れた本殿へ「走り参り」をします。これを「開門神事」と言っております。

福男(ふくおとこ)
昭和十五年頃から、本殿下へ早く到着した順に一番から三番までがその年の福男として認定されるようになり、現在は認定証・御神像・副賞そして特別の半被が授与されます。
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西宮神社は全国にあるえびす神社の総本山で、毎年1月10日の本えびすの日に、開門神事福男選びが行われる。えびすとはみんなご存じ恵比寿様のことで、商売繁盛の神様だ。その年の福を狙いに、参拝一番乗りを目指して多くの人たちが競って走る神事が、この福男選びというわけだ。

直近の一番福男を調べてみた。
2015年 大学生(19歳)
2014年 大学生 野球部(19歳)
2013年 高校生(18歳)
2012年 大学生(21歳)
2011年 会社員(26歳)
2010年 大学生 陸上部(19歳)
こうして並べてみると、圧倒的な体力格差を見せつけられているのがわかる。

ちなみに、女性が入賞すれば福女と呼ばれるらしいが、これまで3位以内に入った女性はいないようだ。

さらに過去に遡って調べてみた。

西宮神社の福男名簿には、1921年(大正10年)から記録がある。その名簿を上から見ていくと、最初に目にする名前は、田中太一さんという方だ。田中太一さんは、なんと、1921年から1938年まで(1936年は除く)の一番福をすべて制覇している。17回にわたって一番福に輝いた田中太一さんは、1938年当時、38歳だったらしい。体力はもとより、すごい健脚の持ち主だったのだろう。1月10日に照準を合わせてトレーニングを積み重ねていたに違いない。

ただ、不思議なことに、1936年のみ、西宮神社の名簿に名前の記載がなく、誰が福男となったのかがわからない。田中太一さんではないのか?田中太一さんはどこに行ってしまったのか?空白の一年。謎が生まれた。

そこで、さらに調べてみた。1936年にいったい何があったのか。

当時の新聞にその答えがあった。1936年、田中太一さんはそれまでの連続記録を更新するかと期待されていたが、なんと家事の都合で欠席。1937年の大阪朝日新聞のインタビューに本人がそう答えていた。ここにきて家事の都合って、どれだけ大事な用事だったのだろう?と思いを馳せてしまう。そして、その年の一番福は、清田三郎さんという方が勝ち取ったそうだ。

翌年と翌々年は、田中太一さんが復活し、見事一番福となり、連続記録は絶ってしまったものの、計17回の一番福という偉大な記録を樹立した。未だこの記録は破られていない。

今年一番福の高校生は、まだ16歳。少なくともあと10年はいける。鍛錬を積めば、38歳までだって夢じゃない。是非とも新たな記録更新に挑戦してもらいたい。