ダンシング・マミー

休日出勤の朝、普段よりもゆっくりめの時間帯に地下鉄に乗った。乗客もまばらな車内には、生後7〜8ヶ月くらいの赤ちゃんを胸に抱いた母親が、ガラガラな座席の前に立っていた。

彼女は、我が子をあやすためにリズムよく身体を揺らしていた。肩を軽く前後左右に揺らしながら、腰をクイックイッと突き出すように振って、小気味よいリズムを刻んでいた。

ドアの窓ガラスに反射して映っている彼女の後ろ姿は、我が子への愛情を全身で表現しているようで、見ていてとても愛らしく思わず口元が緩んだ。

これで今日は少し優しい気持ちでいられそうだ。