ツバメの巣
何年ぶりだろう、野球観戦をしたのは。
同僚に誘われるがままに行った神宮球場。ほぼ満員の客席はホームとアウェーの色にぴっちり分かれていた。
仕事を無理矢理終わらせて着いたのが19時半。試合は4回まで進んでいた。ヤクルトが4-0で広島をリードしている。先にヤクルト側外野席を陣取っていた同僚たちはすでにお祭りムード。応援団が間近にいたせいか、野球素人だろうと嫌が応にもテンションは上がる。
特にヤクルトファンとういわけではないが、周囲のヤクルトファンに感化され、自然とヤクルト応援ムードに。
神宮球場はこじんまりとしていてかわいらしい。たしか、ホームランが出やすいことでも有名だったはずだ。
と思っていたら、立て続けにホームランが出た。これがドームなら二塁打といった打球だったが、神宮ではホームラン。やっぱりホームランは数多く見れたほうが盛り上がる。
とりたてて歓声を上げるような派手なプレイはなかったものの、ホームランが何本も出たし、ヤクルトがリードしたまま勝ったし、300発の花火も間近で見れたし、とても楽しかった。
今回球場に来て一番驚いたのは、ビールの売り子の多さだ。たぶん最後に野球観戦をしたのは10年は少なからず遡るだろうが、あの頃はあんなにやたらめったら売り子だらけの状態ではなかったはずだ。なにせ5秒に一度の間隔で目の前を売り子が通るのだから、その競争率たるや相当なものだろう。そして、5人に1人はかわいいのだ。
大きな望遠レンズまで装着したプロ仕様のカメラを携えたおじさんは、試合は半分そっちのけで、自分の気に入った売り子たちを懸命にそのファインダーに収めていた。
おじさんは、気さくに彼女らに喋りかけ、まだ1杯目を飲み干さぬうちに二杯目を買い、すかさずシャッターを切る。売り子たちも売り子たちで、撮られ慣れているのか、カメラを向けられると様になるポーズを取る。ちょっとしたアイドルの撮影会だ。そこにはもう完全なる需要と供給のシステムが構築されていた。
アイドル文化ってどこにでも生まれるものなのだな。