エール!

難聴者には健聴者のそれとは異なる独自の世界観がある。彼らは難聴であることにプライドを持っていて、健聴者が思うほどにはハンディキャップを感じていないことも少なくない。ポーラの家族がまさにそんな感じだ。ポーラ以外、父も母も弟も難聴で、ポーラは…

お腹ぽこぽこ族

産婦人科に来ると、当然妊婦さんだらけなわけで、その光景を見ると妊娠が当たり前のように感じてしまう。でも本当はとても大変なことで、尊いことで、一人一人に苦悩や喜びなどのドラマがあるはずだ。欲しくても授からない人だって大勢いる。それなのに、病…

恋人たち

11月最後の鑑賞作品は『恋人たち』 。平凡に見える暮らしの中にもいろいろな幸せや悲しみが渦巻いている。日常の中に埋もれた苦しみと戦いながら、失った大切なものを追い求めるのが人生だ。本作は、語られない人たちの尊い日常の断片を丁寧に描き込んだヒュ…

MOZU

テレビドラマのシーズン1と2はテレビで観ていて、ダルマの正体が気になり鑑賞。……だがしかしである。あのポスターはなんなんだ。あの予告編はなんなんだ。スタローンとシュワルツェネッガーが共演した『大脱出』もそうだったが、ネタバレを予告編やポスター…

エベレスト

11月15日、朝の回、TOHOシネマズ新宿のIMAXにて鑑賞。過酷、達成、歓喜、絶望。ものすごく感情を揺さぶられた。キャラクターそれぞれの想いを描いた正しくヒューマンドラマ。実際にヒマラヤで撮影することにより、当時の状況を再現するような撮影ができたの…

アメリカン・ドリーマー 理想の代償

11月13日、上映最終日最終回にすべりこみ。間に合ってよかったと思わせる作品だった。鑑賞後は、全身どっぷり作品の世界に浸かり込んでいたため、程よい疲労感があって心地よかった。「映画を観たなぁ」という感じがした。社会派サスペンスでもあり、ヒュー…

同じ蟻でも…

勤務先の職場にしょーもないおっさんがいて、恐らく40代半ばくらいなんじゃないかと思うのだが、うちの会社でのバイト歴も長い。何がどうしょーもないかというと、仕事が遅く、バカ丁寧で無駄が多い。物量は普通の人の三分の一くらいしか仕事ができない。そ…

忘れぬうちに

今月鑑賞済みだが感想未記載の映画たち。『アメリカン・ドリーマー 理想の代償』『エベレスト』『MOZU』『恋人たち』観ようと思いつつも未鑑賞だがまだ間に合う映画たち。『エール!』『ヴィヴィアン・マイヤーを探して』『コードネームU.N.C.L.E』『ムーン…

ジョン・ウィック

あれだけ強いジョンがなぜ最初にあんなにもたやすく襲われるのか?とか、パーキンズの裏切り(ジョンに締め上げられて金庫の場所を白状した)はなぜスルーされたのか?とか、いまひとつ納得できないポイントはあったにせよ、銃撃戦とカンフーを組み合わせた…

初めてのギター

祝日の午後、とある用事で、曇り空の御茶ノ水界隈を歩いていた。楽器屋の立ち並ぶ坂道を歩いていたら、両親と共にハイティーンの女の子が楽器屋から出てきた。店の人が出口で見送る。女の子はソフトケースに入ったギターを背中に背負っていた。父親が何か笑…

乱死怒町より愛を吐いて

先週の土曜日、渋谷ユーロスペースにて鑑賞。公開初日とだけあって、館内満場。仕事終わりに渋谷に着いたのが20時過ぎ。受付で「立ち見となりますがよろしいですか」と言われ、立ち見なんていったいいつ以来だろう?とやや興奮した。立ち見で映画を観るとい…

ヴィジット ※ネタバレあり

ようやく出てきたシャマランらしい作品。訳あって家出をして以来、実家とはすっぱり連絡を絶ってしまったママを見かねて、ベッカとタイラーの姉弟がママの故郷メイソンビルへと向かう。インターネットでママを見つけた祖父母が孫に会いたいと連絡を取ってき…

二画面視聴

昨晩、テレビをつけたらTBSでは世界野球プレミア12をやっていた。日本vs.ドミニカ共和国。7回、2-0で日本がリードしている。続けてチャンネルを回したら、今度はフジテレビでサッカーのワールドカップ予選がおこなわれていた。日本vs.シンガポール。後半が始…

マイ・インターン

『キングスマン』で「マナーが紳士を作る」という決め台詞があったが、なかなか紳士とは程遠い行動を取っていたのも事実。その点、本作のベン(ロバート・デ・ニーロ)においてはまさに紳士の立ち居振る舞いで、ストレスを抱えたベンチャー企業女社長の心を…

秋の深まり

遡ると、会社が規定している残業時間を5月からずっと超過していて、8月9月10月は休日出動とかもして規定の倍近い80時間を超えてしまい、そのせいか身体にガタがきている。この前は舌に痺れを感じ始め、数日後には食べ物の味も苦く感じるほどの状態になってし…

アントマン

蟻男がどれほどのものか、期待と不安を半分ずつ抱きながら観に行った。結果、面白かった!ワクワクするし、ジーンとくるし、次の作品への期待も膨らむ内容だった。具体的には……その1道を踏み外した中年男の成長物語。我々観客にとって、特に30代〜40代の男に…

ピエロがお前を嘲笑う

約1ヶ月前に鑑賞した映画だが。『バクマン』と順番が前後してしまった。さて、覚えている限りの感想を。何が嘘で何が真実か。突如警察に出頭したハッカーのベンヤミン。彼の独白をもとにストーリーが展開される。ベンヤミンの言動にうっかり騙されると、あら…

バクマン。

大根仁監督作品。その名前を聞いただけで、まず間違いなく面白いんだろうなと期待できる。原作漫画は数年前に途中まで読んでいた。今も続きが読みたい漫画のひとつ。続きを買わなくちゃいけないのは他にもたくさんあって、闇金ウシジマくんとか、土竜の唄と…

ゾンビ祭り

街中はゾンビだらけ。せっかくだったら動きもゾンビっぽくしてくれないかなぁ。いっそのこと『ウォーキング・デッド』祭りにして、武装してる人間とゾンビとでパーティすれば面白い。誰か何かしらのゾンビ映画コスプレしていないか見渡したが、残念ながら見…

鎌倉の恋人

今まで好きになった女性、または可愛いと思った女性は、必ずしも同系統というわけではない。顔立ちもスタイルも性格も違う。きっと自分にはタイプというのは無くって、いろんな人を好きになる性分、つまり気が多い、もっと言ってしまえば節操が無い、良く言…

ナイトクローラー

今年観た映画の中では5本の指に入る面白さ。盗みでなんとか生計を立てているチンケなサイコパスが、事故や事件の報道カメラマンとしてのし上がっていくサクセスストーリーだ。『落下の王国』や『ボーン・レガシー』などの脚本を手がけてきたダン・ギルロイに…

TED2

見た目は可愛らしいテディベアが、人間と同じように喋ったり、酒を飲んだり、ドラッグをやったりする。しかも、中身(年齢と心と声)はおっさん。アメリカのローカルで下品なギャグ満載のコメディ映画。前作も笑ったし今作も笑った。しかし、今回、途中で飽…

思い出ゲーム

そうだ、今月に入って『ピエロがお前を嘲笑う』を観ていたのだった。10月4日に観に行った記録があった。パンフレットも本棚の一番上に乗っかっていた。つまり、一番最近観た作品ということだ。備忘録を付けるのが遅れると、こうやってどんどん忘れていってし…

備忘録の備忘録

TED2、ナイトクローラー、それも先月の話。今月に至ってはなんとゼロ!忘れぬうちに書かないと。見逃す前に行かないと。そんな最近、頭の中をループしてるのがこの曲。https://m.youtube.com/watch?v=OMOGaugKpzsそして今日は休日出勤のあと、2〜3ヶ月ぶりの…

おにぎらず

業務拡大と人事異動と退職が重なった夏。既存業務に加え、新規業務の立ち上げに向けて準備が忙しくなる中、強力な管理者が、7月から8月にかけて、4名いなくなった。平行して、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)強化のための社内サーバ整理もおこ…

スーパームーン

雲のカーテンの向こうに輝く月。今宵はスーパームーン。たしかにいつもより大きく見える。放つ光も特大だ。星もないのに夜空がひときわ明るい。1時間ほど前、妻は想いを馳せるように見上げていた。今はひとり、ベランダでビール片手に月見。何を願うわけでも…

ヴィンセントが教えてくれたこと

ビル・マーレイが大好きだ。ナオミ・ワッツも大好きだ。このふたりが出る。ただそれだけの理由で観たかった映画。ビル・マーレイは、偏屈で毒舌ばかり吐く男、ヴィンセントを演じている。こういう役柄はマーレイの面目躍如。煙草を吸って酒に溺れてギャンブ…

ムカデ人間3

ようやく観てきた『ムカデ人間3』。公開開始と同時に観に行く予定だったのだが、なんだかんだでズルズルと先延ばしになり、やっとやっとやっと観ることができた。『ムカデ人間』を観賞したのが4年前。たしか渋谷の映画館だった気がする。「つ・な・げ・て・…

グリーン・インフェルノ (したまちコメディ映画祭in台東 2015)

さて、今年の「したコメ」2つめのプログラムは映画秘宝20周年記念企画、『グリーン・インフェルノ』だ。東京国立博物館で開催された「吹替え講座」の直後に浅草公会堂で始まるという過酷なスケジュール。「吹替え講座」が時間を押していたこともあり、浅草…

スサミ・ストリート全員集合〜または”パペット・フィクション”ともいう〜 (したまちコメディ映画祭in台東 2015)

したまちコメディ映画祭。略して「したコメ」。今年でもう8回目の開催になるそうだ。ここ数年はこの時期が楽しみでしょうがない。前々回に観たショートフィルムフェスティバルは実に楽しかった。グランプリを受賞した『おとなになりたくて』はいまだに覚えて…

キングスマン

始め、コリン・ファース主演と聞いて、随分と地味そうなスパイ映画だなぁと思った。英国紳士の気取ったスパイがイギリスのブラックジョークを放ちながらしれっと事件を解決していく物語を想像した。とは言っても『キックアス』のマシュー・ヴォーン監督作品…

赤い星

今夜の東京の夜空は晴れている。そして明るい。高層ビルの灯りに照らされているのだ。空に浮かんでいる雲の形がよく見える。なのに、星は見えない。サイパンの夜空には、いまにも降ってきそうなほどの数多の星がすぐ近くに見えた。東京の夜空には銀色の星が…

リフレッシュ

何もないところでただひたすらのんびりしたい、と妻にわがままを押し通して行ったサイパン。台風13号の影響云々ではなく、明らかに最初から何もなかったんだなあと思わせるほどなんにもなくって額から汗がこぼれた。いや、この汗は南国の太陽に照らされて出…

雷鳴

曇天を突き抜け地上に現れたるは、猛り狂った白き猪。鬣靡かせ、人の往来を脇目も振らず猪突猛進。その蹄に踏みつぶされながらも、信心深き人々は猪神を拝み明日の豊作を願う。もはや疾風と化した白き猪は、大きな足跡だけを残して姿を消していた。遥か彼方…

ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール

スコットランドの人気バンド、ベル・アンド・セバスチャンのスチュアート・マードックが脚本、音楽、監督を務めた作品。傷ついた若者3人の短くもキラキラ輝く青春の日々を美しくキャプチャーした映画だ。劇中歌にまず心がさらわれた。その時点でミュージカル…

Mr.タスク ※ネタバレあり

キル・ビル・キッド(注1)の悲惨な映像を面白動画として紹介しているあたり、かなりゲスい。ここまでひどい映像を流しているかは知らないが、トークがゲスいアメリカのポッドキャストはいくつか聴いたことがある。ぼーっとしているときに垂れ流して聴いてい…

ダンシング・マミー

休日出勤の朝、普段よりもゆっくりめの時間帯に地下鉄に乗った。乗客もまばらな車内には、生後7〜8ヶ月くらいの赤ちゃんを胸に抱いた母親が、ガラガラな座席の前に立っていた。彼女は、我が子をあやすためにリズムよく身体を揺らしていた。肩を軽く前後左右…

ナァー

疲れがたまった上に睡眠不足の日が続くと、人は機嫌が悪くなるものらしく、ここのところイライラが止まらない。特にこの2〜3日は、仕事上苛立たせることが連発したため、各レイヤーにいつになく強い口調でキツイことを言っている。昨夜は久しぶりに4時間以上…

専用区画

墓地に女性専用区画だそうだ。霊園の新企画として売り出し中らしい。死んでまで男子禁制でいたいのか?死んだ人が女性専用がいいのか、お参りに行く人が女性専用がいいのか。「男に墓を触られたくない」「男に拝まれたくない」「男の僧侶はお断り。尼僧でお…

定番のありがたみ

仕事を終え家に着くと、外から音が聴こえてきた。そのリズムに乗った音が気になり、窓を開けてみた。ベランダから様子をうかがうと、音の出どころは近所の公園だった。町内会の盆踊り大会だ。しかし耳に入ってくる音楽はいわゆる盆踊りらしい音楽ではなく、…

ジュラシック・ワールド

22年前に『ジュラシック・パーク』を観た時の衝撃を覚えている。リアルな生き物としての恐竜がスクリーンに映し出され、映画技術に圧倒されたものだ。その後のジュラシックシリーズについてはあまり記憶に残っていない。観たはずなのだが、どれも肩透かしの…

さよなら、人類 ※ネタバレあり

このタイトルってなんだろう?『存在について考える枝にとまった鳩』という哲学的な原題をやわらかくしたような邦題だ。人間の存在から脱却するのか、人間という存在を諦めるのか。どこか悲観的でもあり、解脱の概念も含まれているような、そんなニュアンス…

yahweh

8月15日は毎年なんやかんやで仕事をしていたが、大東亜戦争終戦から70年の今年は、きちんと休みを取った。靖国参拝。日輪が神殿を包み込んでいた。「戦後」という言葉を今も使い続けていられるのは幸福なことだ。多くの屍の上にこの命は成り立ち、そして次の…

秋川渓谷にて

夏の涼を楽しむ。

江の島灯籠

先日、昼過ぎにふと思い立ち、そのままふらっと江の島へ。島を寝ぐらにしている猫たちがあちらこちらから顔を出し、出迎えてくれた。少し歩いて汗をかいたので、路地裏にひっそりと佇むカフェに入る。苦めのアイスコーヒーを注文し喉を潤した。ジャズの流れ…

ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション

シリーズ最高傑作。満足度100%を保証する、と周囲の人間に言って回らずともみんなどうせ観に行くだろうからわざわざ言わないが、間違いなく今年度トップ10に入る作品だ。映画館に行かない人は絶対に後悔する。おすすめポイント1アクション映画としてワンラン…

人生スイッチ

6篇のショートストーリーから成るアルゼンチン映画。ブラックユーモアを孕んだこの手のショートストーリーは、子どもの頃に繰り返し読んだ星新一のショートショートが頭の中を埋め尽くしているせいで、どうも新鮮味を感じることが少ない。というよりも、どの…

進撃の巨人 ATTACK ON TITAN

もともと原作が苦手だった。話題のコミックという触れ込みで書店に平積みされていたので、当時発売されていた1〜3巻くらいまでまとめて買って読んだ。1ページ目から絵の下手さ加減に辟易しながらも、この世界観はきっと面白いことにつながるに違いないと期待…

予告

あまりにも仕事ばかりを詰め込みすぎて、今年に入って予定どおり映画館に行けていないということがさらにストレスを加速させている、と当然のことに気付いていながらも仕事を優先させている今夏。さて、相変わらず仕事は半端ないが、これから怒涛の映画鑑賞…

バケモノの子 ※ネタバレあり

本作は、9歳で母親と死別し、父親は行方不明で、養子として迎え入れられた親戚とは折り合いがつかず、殻の中に閉じこもって、文字どおりひきこもりとなった少年が見た夢と現の綯い交ぜになった成長記である。自分の中の闇の部分を埋めるには、父親との和解が…